ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

裁判所見学

「あなたは、人種に関して偏見を持っていると思いますか。」

 

そう聞かれて、(少なくとも日本では)堂々と人前でYesと答える人は少ないように思う。こんな当たり前の質問をしても、本当に偏見がある人を排除することはできないし、形式的な体裁を整えるだけの質問をして意味があるのだろうか、、、

 

今日は、マサチューセツ州の州裁判所に行った。まるで遠足で、「あぁ11月とは思えない寒さだ(-1℃)、今後が思いやられる」、と皆で嘆きながら、ヒートテックをどれだけ買ったかを中国人と韓国人と私とで競い合いつつ(UNIQLOと東レに心から感謝)、引率者のあとをぞろぞろと、盲目的について行った。お菓子(もちろんポテトチップス)まで配られ、もはや小学生のようだった。

 

アメリカには陪審制という制度があり、一般市民が裁判に参加し、例えば刑事事件では有罪か無罪かなどを判断する。一般市民から陪審員を選ぶプロセスは公開法廷で行われ、冒頭のような質問を、裁判官や弁護士が、陪審員の候補者に対して行う。

 

そして驚いたのは、公開法廷で堂々と挙手し、「私は最近ヒスパニックの犯罪率が高いと想っている、そしてこれは人種を理由とした偏見であることも認める」と発言した人がいたことだ。その他数々の「え、そこ認めちゃうの?」という発言がたくさんあった。

もしかしたら、サンクスギビングの休暇を潰したくなくて、陪審員に選ばれないようにしているだけなのかもしれないが、それにしても、教科書では単なる形式的だと思っていた質問が、こんなふうに回答されているとは思わなかった。

 

陪審制の是否は色々とあるが、裁判官は、「特に刑事事件では、有罪だと思っていた事件を陪審員が無罪と判断したとき、あぁそういう考え方もあったかと、初心に返る」と言っていた。裁判官と同じ結論になるのなら陪審制は不要ではと思っていたが、市民の意見を反映するdemocracyのプロセスの一つととらえると、その重要性がしっくりきた。

 

他にも、癌と診断されて胃を摘出したら、癌が転移していないことが発覚したという医療過誤事件や、刑務所で同部屋の囚人に熱湯をかけられて火傷し、刑務所の監督義務違反を理由に州を訴えている元囚人の事件などを傍聴した(原告の元囚人曰わく、同部屋の相方がトイレ使用後水を流さないことについて文句を言ってから仲が悪くなったそう、、、)。

 

なお、裁判所の昼休みの時間には、裁判官との昼食会があり、場所はなんとまさに法廷で(日本だっら有り得ない)、証人尋問などをやる場所で厳かに、アメリカンな(パンがパサパサで少しすっぱい)サンドイッチを食べた。