ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

コロナウィルス~その3

まさかこんなに長引くとは思っていなかった。外出禁止令が出されてはや2ヶ月。コロナウィルスのワクチンができても、また次の冬に同じようなウィルスが毎年流行ってしまったら、今の状況が恒常化するのだろうか、、、

 

コロナの企業法務への影響。

 

①大きなところでは人事とファイナンス。

 

②人事は、まずは給料保証。コロナ感染を防ぐための自宅待機だった場合、保育園閉鎖に伴う育児休暇、リモートアクセス体制が整っていないがゆえの休業(リモートアクセス体制を整えることまで会社には義務として求められていないし、従業員の責任でもない)など。一定の給料を払いつつ、あとは保険や公的補助を申請してくれ、というのが落としどころ。リストラもアメリカは日本より簡単なので、すごいことになっています、、、

 

③人事のほかの点としては、例えばストックオプションを役員に報酬として付与していた場合、コロナ不況により会社の実績云々によらず株価が全体的に暴落しているので、役員が「自分の業績が適切に評価されていない!」とインセンティブを喪失したり、他社に転職してしまうリスク。

 

お金以外の論点は、会社の出張で外出していたら外出禁止令違反で捕まってしまった場合。必要不可欠な仕事であれば外出禁止令の例外として外出も認められるので、travel letterのようなものを会社として発行して従業員に持たせておくのがベスト。ローカルな警察は、必ずしも「必要不可欠な仕事」の解釈や例外規定まで十分に理解していないので、そのようなレターがあれば呼び止められてもスムーズに対応できる。特にアメリカは州によって規制が違うので、州をまたぐ出張の場合や運送業などは要注意。

 

④ファイナンスは、ローン借りている会社が営業停止で返せなくなってコベナンツにひっかかり期限の利益喪失したりすることになるが(最悪の場合は倒産のきっかけに)、でも営業停止になったのは会社のせいではないし(会社や事業のリスクが現実化したわけではない)、銀行としても全額回収できなくなるのは困るので、銀行から期限の利益を喪失をしないことの確認書をもらったり、返済計画を修正したりする。借入枠がある会社は、コロナ不況を理由に借入ができるかとか、資金使途の制限がどうなるかとか、お金廻りは論点が尽きない。

 

⑤一般的な話として、コロナが不可抗力に該当するか、という論点。不可抗力に該当すると、免責になるから議論がすごいことになっている。肌感覚としては、コロナは万人に無差別に降りかかってくる予測不可能な脅威なので不可抗力なのだけれど、一概にそういってしまうと結論が不公平だったりする。

 

ということを、さっとまとめて事務所内で共有されるところがすごい。他にもアメリカでの独自の論点として税務申告の期限、政府からの補助への申請の仕方、さらにベビーシッター文化が根付いている上保育園閉鎖でさらに需要が高まっていることもあり、ベビーシッターに対する雇用主の責任なんかもある。プロボノ活動についての言及もあり、アメリカの大手法律事務所は真のプロ。ちなみに、外出禁止令の例外として認められる「必要不可欠な仕事」に弁護士事務所も入っているので、私は外出が許されている。いいんだか悪いんだか。外歩くの正直怖いよ、、、シカゴのダウンタウンはそこまでではないが、人通りが少なくなったことと、失業者が増えたことで、治安は確実に悪化している。コロナだけじゃない。

 

息子は通っている保育園もオンラインに移行した。いやいやオンラインって、、、預かってくれないと意味がないというかせっかく大金払って息子の英語力に投資しているのに!もちろんこれを理由に保育園代は返ってこない。Zoomでレッスンがあったが、5歳児のZoomはカオス、、、何も喋らないか何かしゃべり続けるか、、、かわいいけどね(笑)

 

そんなこんなで在宅勤務なんてスムーズにできるわけなく、システムはあっても家にエネルギーを持て余した5歳児がいれば、集中して仕事できることはない。それに、職場は仕事ができるように最適化されているけれど、家はそんなふうにできていないので、机とかスペースとかも、何かやりにくい。まぁ何より時間が貴重なので、私をひとりにしてもらうために息子にはテレビの前に座ってもらうが致し方なし、、、結局PJ Masksという子ども向けの番組のオープニング音楽が私の頭の中をぐるぐるリピートし続けるが、、、

 

Zoomで週1のhappy hour meetingがあり、チームで顔合わせ(バーチャルだけど)をする。暇すぎて犬を買った弁護士がいて、トイレトレーニングに時間をとられて嬉しいと言っていたのには笑えた。あと、もともと歩きながら考える癖のある人が、家だと狭くて歩き回れないということでウォーキングマシーンを買って、パソコンの前に設置して走っているとか、、、が、こういうsmall talkが私は一番苦手、、、みんなが見ているドラマの話なんて全くついていけない。ちーーん。

 

あとZoomで開催されているのはヨガ。こちらはついていける!(笑)なお、今学生の夫もオンラインで授業を受けているが、それはそれで別にいい感じらしい。初回なんて気合い入れて髪の毛ワックスで固めてえり付きシャツを着ていた。もちろん2回目からはトレーナー(パジャマ)で髪の毛はニワトリみたいだったが笑。あと、いきなりオンラインで指名されて質問に答えさせられるらしく、これはかなり嫌で最悪の思い出だと私も思う、、、卒業式もなくなっちゃったしね、、、

 

シカゴもだいぶ暖かくなってきて、外を散歩するのが気持ちよくなってきた。みんな油断したのか我慢できなかったのか、ある日とても暖かい日に、公園で人がいっぱいになった。外出禁止令は出てはいるが、ジョギングは許されている(ちなみにガソリンスタンドでの給油も許されているのが車社会のアメリカっぽい。)。だから別に悪いことしていたわけではない。

 

が、その日の夕方に外出禁止令の追加が発表され、即日公園が閉鎖された。集まりすぎでsocial distanceが維持できないと。めげないシカゴ人は、今度は毎晩8時に、indoor dancing partyを開催し始めた。誰がはじめたのかよくわからないが、なんかうるさいなーーと思っていたら、どうやらみんなこの時間だけは窓を開けて騒いでいいということになっているらしい。息子もペンライトを持って隣りのマンションの人と信号を送りあっていた。息子に何を伝えたのか聞くと、誕生日が近いこともあり、みんなが毎晩自分の誕生日をお祝いしてくれていると思っているようだった、、、

 

シカゴでも最近はマスクをしている人が増えた。手作りマスクも流行っている。トランプ大統領もいきなりマスクをオススメし始めた。なお、この大統領、記者会見中、あまりに誤った情報が多過ぎて視聴者に誤解を与えないために、途中でテレビ各局が会見の放送をカットされたというまぁすごい人だ。どこまでわざとなんだろう、、、大統領選挙も控えているから、(本人じゃなくても少なくとも周りのブレーンが)色々考えているはずなんだけど。

 

アメリカっぽいいいところは、例えばマンションのエレベーターに、いつもマンションをきれいにしてくれる清掃員の方の名前がour herosとして掲示されていたり、Zoomでやたらコミュニケーションとろうとしたり、social distanceの中でもconnectionを見いだそうとするところ。

 

とはいえ、social distanceを覚えたばかりの息子は、Frozen 2を見て、キスやハグしちゃだめだ、ウィルスうつる、と言っていた。子どもって順応性高い。コロナ、っていうのも響きが気に入ってしまったみたい。無邪気すぎる。

 

まさに「kingdom of isolation」で日々を送っているが、早く普通の生活に戻りたい!