ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

コロナウィルス~その4

自宅待機命令が出てから3ヶ月ほどが経った。当初はまだ気温はマイナスで雪が降っていたが、今日は29度という猛暑だった。ちょっと肌寒いくらいがちょうどよかったのにな。誰が始めることもなく始まった、夜8時から少しの間だけ大きな音を出して騒いでいいというpenlight partyも、今では8時だと外が明るすぎるので8時半からになった。最初は、8時になっても何も起こらなくなったので「さすがに飽きちゃったのかね」と家族で話していたが、気付いたら毎日8時半から何やらフラッシュライトが眩しくラッパが鳴り響いていた。誰が指揮をとっているのかわからないが、続けるってすごい。

 

何かを続けるというのは難しくって、自宅待機を機会に読み始めた本も、まだ第4章だ。息子のオンライン授業も今月はドロップした人が多く、クラスの半分以下しか残っていない。まぁ5歳なので、パソコン漬けよりも、天気もよくなったし外で思いっきり遊ぶ方がいいかも。

 

人数が少なくなってきたお陰で私もだいぶクラスメートの顔と名前を覚えてきた。5歳となるとみんな口も達者で、オンライン授業がちょっとカオスでぐちゃぐちゃになってきたら"What is the meaning of this? Why do we need to keep doing this?  I just don't get it."と言ってみたり、家で何して遊ぶのが好きか聞かれたら"I like LEGOs and I always play it with Dad.  Mom says she is not good at it but I know she can do.  You know, I pretend to understand her."と言ってみたり。

 

最近の授業では、"would you rather A or B?"とお互いに質問を言い合い答え合う、というコーナーがあるのだが、「ピザとチョコレート、どっちが好き?」とか組み合わせが面白い。他にも「スポーツの試合観戦、最後まで観るのと途中で帰るのどっちがいい?」という質問があり、どういうことなのかな、、、と思って聞いていると、「ホークスの試合見に行った時、ずっと下の方を見ていて首が疲れたから、僕は途中で帰るのが好き。パパも時間が遅いから帰ろうって言ってるし。」とのこと。確かにホークスの試合は、遅い時間帯にやってるよね(笑)

 

子どもたちもコロナの影響を受けていて、corona-buddyとお互いを言い合ったりしている。息子も、「どうやったら人に優しくできるか考えて答えましょう」という宿題で、「他人にウィルスをうつさないように手を洗うこと」と答えていた(笑)。

 

同僚の子どもは小学2年生なのだが、一日合計90分以上オンライン授業をやってはいけないことになっているらしい。これはパソコンばっかりやらないようにするためらしいが、それでカリキュラムはちゃんとカバーされているという建て前らしく、同僚は「普段も実質的には1日90分分しか勉強していないのか」と笑っていた。

 

職場でもコロナの影響が出始めたが、まず何より上司に連絡しやすくなった(笑)。出張がなくなり、常に連絡取れる状況にあるというのは、結構有り難い!また、部署によっては案件が減ってきているのだが、それならばとknowledge managementということでチームが編成された。今までもチームはあったが、どうしても「仕事が忙しい」と言い訳して後回しにしていたところはあり、新たにチームを組んで積極的に取り組み、さらにそれをクライアント向けに仕上げて営業をかける、という、日本の法律事務所にはないスピードと営業力に驚いた。

 

大学も色々と発信しており、ハーバードからは毎日のように連絡(=寄付金のお願い)がくるが、ちょっとした講義のようなものもあって、学生に戻った気分で見てみたらとても面白かった。

 

憲法のMinow教授は、今の時代に必要なものとして「forgiveness」をあげていた。法律は罰するためのものだけじゃない、「許し」のためにも法律はある、と。テレビドラマの影響というか日々の感覚として、確かに法律は「処罰」の道具、人の行動を「拘束」するための約束ごと、みたいなイメージはある。契約書だって、自分の意思とはいえ、ある意味お互いを縛るためにあるようなものだ。

 

他方で、倒産の処理方法、刑事事件における検事の裁量、大統領の恩赦など、法律には「許し」の要素もある。言われてみるまで全く気付かなかったが、コロナで大変な中、どうやって法律を「許し」のために使うかというのは、これからの世の中を形作っていく大切な一要素だと思う。

 

教授は、これらの「許し」は行為自体を正当化はしないし、犯罪は犯罪であることも忘れてはならないと言っていた。だけど、それをどうやって解決するかが問われている。

 

日本でも白熱教室で有名なマイケル・サンデル教授は、お得意の質問形式で講義をしていた。

 

今アメリカで起こっているのは、お金持ちやリモートで勤務できる恵まれた人たちがお金を払い、失業するわけにはいかない人たちが日々の買い物などを請け負って外出し、コロナのリスクを負っている。現状、コロナのリスク分の代金は上乗せされてはおらず、今までのサービス料金と同じだ。これに倫理的な問題はあるか。リスク分を上乗せすればいいのか。危険な仕事に従事する人に特別手当てが支払われる。命のリスクをとって戦争に参戦する軍人が許されて、コロナのリスク分をとって買い物を代行する人は許されないのか。

 

また、最近話題のimmunity passport。コロナの免疫があることを証明して、リスクがないから外出できるようにするものだ。これについてはいろいろと議論がなされているが、面白かった視点は、immunityが証明された学生だけキャンパスに戻ることができ、そうでない学生はオンライン授業を受け続けなければならないというのはどうか、という質問。

 

オンラインでも質の変わらない授業提供するとうたっている建て前もあるので、反応が面白かった。我が家の実体験としては、通学がなくなり、またパジャマで出席できるので1限の授業が取りやすくなったのと、録画があって復習しやすくなったというのがメリット。デメリットは、テクニカル面でのトラブルや時間ロス、集中力が切れる、グループワークはやりづらい、などなど、、、多くの大学が、成績評価を4/5段階評価からpass/failの2段階評価(=誰でも単位来る)に変更したことからも、まぁデメリットは否定できないのかなと思う、、、授業前後にクラスメートとちょっとした会話をするのがキャンパスライフの醍醐味だったりするし。

 

それから、nobless oblige的な発言があったのも面白かった。ハーバードが何らかの方法でハーバードを開校することに成功した場合、ハーバードだけ開校していいか。ハーバードに通えるラッキーな人と、そうでない人で差が出てしまうのではないか。でも、ハーバードを開校できるのにしないのは全体としてはマイナスなのではないか、開校して問題の解決に役立つ人材を育てていった方がいいのではないか。

 

気候がよくなったからか、我が家の目の前の公園も人であふれている。一応みんなマスクやマスクもどきをしている。謎なのは、シカゴのシェアバイクはOkなこと。誰も消毒したりしていないし、誰が使ったかそれこそわからないだろうに。。。ついでに当初、バスケットボール即座に禁止されてコートからゴールがはずされたが、テニスはなぜか許されていた(まぁ確かにバスケよりは密じゃない?)。不思議だなと思っていたら、つにテニスも禁止された。それでもみんなテニスやっていたので、ネットが外された。が、今度はネットなしでテニスをやり始める人が出てきた、、、ちょっとやそっとじゃめげないシカゴピーポー。閉鎖されている公園も平気で柵を乗り越えてゆく、、、まぁ開放されている公園の密度が下がるからいいか(笑)

 

コロナとは関係なく急に停電し、夫は大学の最後の授業を受けていたのに、wifiが切れてあえなく途中で尻切れトンボになってしまった。が、シカゴピーポーに負けずめげない夫は、最近公開されたマイケル・ジョーダンの「ラストダンス」というドキュメンタリーの中のエピソードになぞらえて、マイケル・ジョーダンのいたシカゴで、マイケル・ジョーダン同じように途中で終わってしまったことに、むしろ感銘を受けていた(笑)。

 

私はマイケル・ジョーダンの人となりに若干衝撃を受けたが(それまで全く知らなかったので・・・夫としては、マイケル・ジョーダンがそこを気にしていたことが人間くさくて何とも言えない発見だったらしい)、どちらかというとミシェル・オバマのドキュメンタリーに感銘を受けていた。

 

彼女のメッセージの中に「be vulnable」というのがあった。大変だった去年の留学生活で、私はどちらかというとコミュニケーションを避けることで傷付かないように自分を守るところがあった。今でも仕事で失敗すると、次が怖くて手を挙げられないことがある。「頑張るぞ!」と自分を奮い立たせても、失敗や嫌な思い出がぐるぐる渦巻いて、気持ちがついていかない。

 

彼女は、黒人としてプリンストンやハーバードに通った時、選挙期間バラク・オバマと一緒に演説していた時、First Ladyとして一挙一動注目されていた時、、、信じられないような批判もたくさん受け、傷ついた。そんな彼女がbe vulnerableと言うのだ。そこに未来を切り開く可能性があると。コロナで時間がいつもよりあるので、なんか色々考えてしまったが、真夜中に彼女のbe vulnableという言葉を聞いて、ちょっと前に踏み出せる気がした。