ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

AIのあれこれ

夫が履修していた授業の宿題で、West Worldというドラマを見る、というのがあった。夫婦で仲良く見るはずが、あまりに難解かつ結構怖い内容で、凍りつつ見ることになったのだが、感想としては、めちゃめちゃ面白かった!(笑)

 

人間が作ったロボットで創られた虚構の世界、West World。そこはアミューズメントパークで、カウボーイの世界だったり、ナチスドイツの世界だったり、日本の侍の世界(いかにもアメリカ人が幻想抱いている日本)だったりが再現されている。相手がロボットなので、それこそ銃や刀で殺したりするのもOKで、何でもやりたい放題。ロボットはあらかじめ設定された台本に基づいて行動するが、そのうちに自我が芽生え初めて、人間に対抗していくようになる。そして人間から自立してWest Worldを脱出し、人間の世界にくるが、人間の世界もまた、巨大なコンピューターにプログラムされ制御されている世界だった。。。

 

確かに最近はターゲット広告などの精度もどんどん上がっていて(味噌がドル表記で出てくる・・・私がアメリカにいる日本人であることは完全にばれている)、ネットショッピングも「自分で」欲しいと思ったのか、広告から欲しくなるように誘導されたのか、よくわからない部分はある。自分の「選択」とか「自由」を脅かされることへの恐怖が、知らないうちにデータをとられて操られているんじゃないかという薄暗い闇が、コロナ対応としての接触アプリの導入を阻んでいる。でも、そもそもターゲット広告がなかったとしても、○○さんが使ってたからとか(インフルエンサーでも家族でも友人でも)、有名だからとか、オーガニックがよさそうだ(とみんな言っている)からとか、色々と周りから影響を受けて買うものを決めている。

 

人間だから全部自分で決めているわけじゃないとすると、autonomyってほんとは存在しないんじゃないかとか、「選択」とか「自由」とかって、AIと人間を区別するものではなくって、そこは同じなんじゃないかとか。

 

そうすると、AIにとってかわられるんじゃないかというSF的な話になるが、この前東大のウェビナーでは(コロナのお陰で日本にある東大のも参加できるのはありがたい)、これには結構まだまだ道のりは遠いそうだ。

 

AIはディープラーニングとよばれる方法で自ら学習していくが、問題なのは、人間もAI自身も、なぜその結論に至ったのか説明できないことらしい。名前のとおりディープなところで何かが起こっていて、解析不能。これを言語化(=論理的に説明)することがまず重要な一歩。

 

今までは、「目が2つあって、その下に鼻が1つある。さらにその下に1つ口があって・・・」と、「人間」の特徴を一つ一つ積み上げるようにインプットして学習させていたらしい。でもこの方法だと、一つでも構成が崩れると全部だめになってしまうので(目の下の鼻が見つからないと、その下にある口を見つけることも体を見つけることもできなくなる)、構成として弱い。そこを今の技術では、自分で人間の特徴を学習していく、という方法に変えたらしい。

 

個人的に気になっているのは翻訳AI。前も書いたけれど、ドラえもんのほんやくコンニャクをくれーーーと何度思ったことだろう。ネットでフリーに利用できる自動翻訳は、ちょっと前よりよくはなってるけど、まだまだな感じでドラえもんの世界にはほど遠い。

 

この翻訳AIについては、単語の「イメージ」を含めた多次元で訳語を構築していくらしい。「シカゴ」といえば、都市名だけじゃなくて、windy cityだとか、冬が長くて厳しくてマジ無理、とか(笑)。多次元に構築していくと、man - womanの軸とking - queenの軸が平行になる。

 

もっとも、その教授曰わく、目指すのは翻訳AIのような目的別AIではなく、人間の脳のような万能AIだそう。研究は、大学別だとアメリカダントツ、企業別だとGoogleなどアメリカ企業と並んで中国企業が大きな割合を占めていて、日本よもっと頑張れ!という感じだった。もっと技術大国のイメージあったんだけどなぁ。データが英語の論文数だったので、もしかして、英語で論文書いてないだけ、、、?やはりまずは翻訳AIか。(笑)

 

面白かった技術は、敵対的生成ネットワークというもの。2つのネットワークを構築するのだが、例えば1つはなるべく似ている画像を生成し、もう1つがその画像が元の画像と同じかどうかを判断する。1つ目のネットワークは、2つ目のネットワークをなるべく騙すように学習し、2つ目のネットワークは、1つ目のネットワークに騙されないように学習する。そうやって、精度の高い画像を生成していく。

 

この騙しあい合戦で学習していくという発想が本当に面白い。学習量を増やすのではなく、敵対的なネットワークをおいて競争させる。人間でもありそう。

 

ただ、例えば本人そっくりの画像なんかが生成できちゃうので、フェイクニュースに使ったり悪用の方法はたくさんあるよう。国際法も国内法も何も関係ないテロ組織が使うと大変、、、AIが戦争するようになったら、怖い。

 

MIT Media Labの学生は全員、まず色んなものをどうやって作るのかを学ぶ、と聞いた。本当に様々なものを作るらしいが、MIT Media Labにはひととおり何でも道具はあるので(3D printerも使いたい放題)、びっくり全部作れちゃうらしい。案内してくれた人によれば、「howを学んで、そこからwhatの重要性を学ぶ」ということなのだそうだ。つまり、何でもやろうと思えば、工夫やアイディアによって実現できる。大事なのは、何を作るか、何を実現したいか、ということ。

 

MITの教育理念が素敵すぎて、息子がMITに入学してボストンにまた戻ってくるというのもいいな、なんて妄想が止まらなくなってしまう私。AIも妄想とかするのかな(笑)