ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

淡く思う

緊急事態宣言が出る直前に帰国し、息子は日本の幼稚園に通い始めた。

 

幼稚園の申し込みには日本に住民票が必要だが、住民票を入れるには役所に行かなければならず、世界で最もコロナの状況がひどいアメリカから帰国した我々は14日間の自主隔離をせねばならないので、すぐに役所には行けないし、電話で問い合わせたところ役所としても来るな、という(そりゃそうだ)。しかしながら幼稚園の申し込みにも当然期限というのがあり、その期限は予想通り自主隔離期間中に過ぎてしまうのだ。

 

コロナはある意味便利なもので、なんか面倒なことがあれば「コロナだから」と言って断れば丸く収まって、角が立たない。まだ自分自身が決心ついてないだけなのに、「コロナで先が見えなくて」といえば、とりあえずの決断を先延ばしにできる。不意に「コロナだから」といって疎遠になっていた友人になぜか思い立って連絡を取ってみると、そこから盛り上がったりする。人間関係の潤滑油。

 

役所でもコロナ効果はあり、運転免許証の更新ですら、更新期間を逃しても「コロナで外出を控えていた」と言えばお咎めなしなのだそう。

 

ならば、コロナだからこそ自主隔離があるのだが、コロナだからこそ、幼稚園の申し込み期限を延長してもらおう。

 

交渉した結果、幼稚園の申し込みに期限があるのは諸手続きにそれくらいの時間がかかるからであり、これを延長することはできないとのこと。ですよね。。。ただ、役所としても意地悪しているわけではない。問題は住民票を入れるのに、パスポート原本の確認が必要で、私が直接役所に行かなければならないということ。幼稚園の申し込み自体は、郵送で申込書やその他の書類を送ることで可能なのだ(原本を送付する必要はあるが)。ということで、住民票なしでも幼稚園の申し込みを郵送のみでできることになった。

 

日本の役所は、アメリカの役所よりもずーーーっとしっかりしているし合理的。「折り返して連絡します」といっても、私からまた問い合わせの電話をしない限り永遠に折り返しの連絡なんて来ないアメリカに比べると(なんならこちらから電話をかけ直すと担当者が帰宅していたりする)、証拠にも残らない口頭での約束を信頼できるというのはこんなにも快適なのかと思う。上記のやりとりも全て電話で、この特別扱いについてもただの口頭での約束だが、日本の役所は約束どおり対応してくれた。

 

が、日本の役所ってなんで面倒に感じるのだろう。

 

それはおそらく、役所があまりに原本主義だからなのだ。リモートでできることがほとんどない。だとすると、役所がどんなに電話で丁寧に対応してくれても、結局最終的には役所に物理的に行かなければならず、行ったら行ったでものすごく混んでいて(特にマイナンバーカード関係の列が長い。普及してきた証なのだろうか)、書類に不備があったりしたらもう一度やり直し。郵送でパスポート自体は送れないが、コピーなら送れる。それではダメなんだろうか。。。やっぱり悪用する人がいるんだろうか。

 

リモートといえば、2020年はコロナでリモートワークがかなり広まったようだが、2021年は「やっぱりリモートでは無理」という仕事が出てきて、揺り戻しがきているようだ。緊急事態宣言に関わらず、友人も結構出勤している。もちろん業種によると思うが、少なくとも日本の印鑑や原本主義がもっと効率的になればいいなと思う。コロナ前だが、ある依頼者が月曜までに社長の印鑑が必要で、日曜に僻地でゴルフを楽しんでいた社長のところまで、電車とタクシーを駆使して3時間かけて(往復6時間!)行っていた。彼の休日を返してあげたい。。。

 

リモートワークのおかげで、私を含め子育て世代は在宅勤務への風当たりが弱くなり、やりやすくなった。個人的には事務所でやった方が効率的な部分もあることは否めないが、通勤時間が省略でき、人身事故などで電車が遅れる度に息子のお迎えに間に合わないかもと真っ青になっていた頃に比べれば、時間に余裕がある。ただ、リモートワークというと、外見的にはひたすらずっと家にいるので、出勤を余儀なくされている人から見ると「休日」に見えるらしい。あくまで在宅「勤務」なので、ちゃんと仕事しています!笑

 

幼稚園は、日本に帰国した時点では、ほとんど日本語を話さず、英語でしかコミュニケーションできなかった息子が日本の幼稚園に順応できるように、午前中は日本語、午後は英語という体制の幼稚園に入園した。少なくとも午後になれば、みんなとコミュニケーションがとれるし、日本語は別としても英語が話せるということに自信を持てると思ったのだ。初めてボストンに行った時、「子どもはすぐ順応する」という言葉を過信しすぎて、全く英語を話せない息子に苦労させてしまったので、今回は出来る限りの環境を用意したいと、、、

 

日本語クラスの先生も状況を理解してくださり、笑顔で「Good morning!」と言って出迎えてくれた。が、息子が転入したのは2月。入園早々「豆まき」があり、大人から見てもかなり本格的な鬼が幼稚園に登場。息子は、日本の幼稚園には鬼が来るのかと号泣し、幼稚園には行きたくないと言い張る。そっか2月ってそういうイベントあったなと、これにはもはや笑ってしまったが、日本語クラスの先生がうまくフォローしてくださり、今は元気に通っている。

 

で、英語クラスの方だが、やはり日本で英語をやるということの限界。笑 当初は息子もI cannot speak Japaneseといって英語しか話さなかったようだが、クラスメートはほとんど日本語を話しているようで、先生も日本語は話せないが理解はできるとわかると、息子は次第に英語クラスでも日本語を話すようになった。子どもはよく観察しているし、騙せない笑 

 

というわけで、3年弱アメリカにいて、我が家としてはものすごい額を教育費に注ぎ込んだにもかかわらず、あっという間に息子は英語をお忘れになった。音は耳に残っているとか、そういう慰めの言葉をネットで探したくなるくらいだ笑

 

とはいえ、アメリカで幼少期を過ごしたことの証がある。それは、ものすごく強い自己肯定感。

 

幼稚園馴染めているかなと思い、「お友だちできた?」と息子に聞くと、「みんな遊ぼう、って来るけど、誰と遊べばいいかわからないから順番に遊んでいる」と嬉しそう。先生に聞いても、みんなに囲まれているようで、特にお世話好きな女の子たちに色々と面倒を見てもらっているようだ。

 

息子が「ベストフレンドもいる」というので、「お名前は?」と聞くと、「当ててみて」という。聞いたことのある名前をいくつか言ってみたが、全てNo。ならばとクラス名簿を取り出し、上から名前を読み上げてみるが、全員No。ははーんこれは、と思い、「もしかしてママ?」とニヤニヤ聞くと、NOOOOOOO!それはそれでショックと思いながら、「じゃぁパパ?」と聞いても首を振る。まぁそっかと若干安心しつつ笑、「わかんない、教えて!」と聞いたところ、

 

"Myself!!"

 

親友は自分自身。自分大好き。これはアメリカで得られた一番の財産だな笑

 

日本で生まれ育った私は、淡く思いを馳せるのみ。