ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

コロナウィルス

コロナウィルス問題で、真偽のほどは別として色々な記事やニュース、分析やコメントが出回っている。「このピンチをチャンスにかえましょう!」とポジティブにテレワーク、リモートワークの普及を主張する人もいれば、日本では公立校が休校になり困り果てている働くパパママたちもいる。商流に中国が含まれている会社は事業が回らず業務停止に追い込まれる一方で、マスクを始め、非常食としてのカップラーメンにお米など、突然の需要に供給が追いつかないほどの事業もある。閑散としている交通機関、レストラン、ショッピングモールと対照的な、なぜかトイレットペーパーの前にたくさん集まる人たち。

 

アメリカでは、コロナウィルスのことは話題にはするものの騒いでいるのは一部という印象だ。私が住んでいるシカゴでは、アメリカの中では早期に感染者が発見されたにもかかわらず、街を歩いている人の中にマスクをしている人はほとんど見かけない。ごくごくたまにマスクをしている人を見かけるが、ほぼ100%アジア系だ。

 

これが人種差別を呼んでいるのが悲しい。マスクは予防にはならず、感染者が感染を防ぐのに効果的というのが多数説のように見えるが、とにかく日本に限ってみれば、風邪であれ花粉症であれ、コロナウィルスに限らず日本人はよくマスクをしている。台湾人の友人によれば、現在台湾では、マスクをしていないとタクシーの乗車は拒否されるらしい。他方、アメリカ人でマスクをしている人は見たことがない。そんなアメリカ人から見れば、マスクしている人=よっぽど状態が悪い人というイメージになってしまうのか、あるいは単にコロナウィルスが中国から始まったからなのか、アジア人=コロナウィルスという間違った計算式が出てきてしまう。

 

メディアの報道も、コロナウィルス関連の記事については、マスクをしているたくさんのアジア人の写真を掲載している。これでは間違った計算式の答え合わせをしているようなものだ。ニューヨークでは、わざわざチャイナタウンに行ってマスクをしているアジア人の写真を撮ったものが有力紙に掲載されたらしい。

 

アメリカ人がなぜあまりマスクをしないかの理由は諸説あるが、マスクをしていると口の周りが気持ち悪いとか(これは同感!)、買いに行くのがそもそも面倒とか、別に効果ないと思っているとか、かっこ悪いとか、、、特にこだわりがあるわけではなさそうな感じ。ある人はマスクしても電車で吊革触るなら全く予防にはならないからマスクしない、と言っていた。まぁ確かに。

 

面白かったのは、アメリカ人は暗いところでも何でもよくサングラスをかけており、目が隠れているので、口の形で表情を読む、だからマスクで口を隠してしまうと表情が読めないので嫌う、というもの。確かに日本は目は口ほどにものを言う、ということわざがあるし、相手の目を見て本心を探るようなところがあり、言われてみればサングラスはあまりしない(サングラスについては目の色の違いもありそうだけど)。アメリカの絵文字と日本の絵文字を比べでも、アメリカは口のバリエーションが多く、日本は目のバリエーションが多いらしい。

 

同僚と話をしていると、これまた温度感が違い、「コロナウィルスより銃で死ぬ人の方がずっと多い」とか、別の観点だと「今日本行きの飛行機が半額なの。ずっと行ってみたかったけど遠いし高いから先延ばしにしてた。今がチャンスだと思う?」なんて言う人もいる。ある人は、電車でくしゃみをした人がいたら、とりあえず10秒間息を止めて、ウィルスがいなくなるのを待つ、と言っていた。10秒でいなくならないでしょ、と突っ込むと、地面に落としたお菓子でも3秒以内に拾えばセーフっていうじゃない?と言われた(笑)

 

ただ事務所としてはきっちりしていて、定期的にコロナウィルスの情報がマネジメントから届くし、指定された国(日本含む)には不必要に行かないこと、行った場合は14日間自宅待機、という方針だ。あとすごかったのは、事務所内部向けのセミナーで、コロナウィルスのキャピタルマーケットにおける影響を、某大手証券会社のお偉いさんを呼んでパネルディスカッションで議論したことだ。コロナウィルスは一過性のもの、という意見が多かったが、得てして曖昧になりがちで不安を煽るだけになってしまう「コロナウィルスによる影響」というのを、専門家からはっきりとした言葉で、またタイムリーに聞けてとても勉強になった。

 

日本はオリンピック開催もかかっているので大変だと思うが、冒頭で一番はじめに例をあげたように、ピンチはチャンスというポジティブな思考で切り抜けてほしい。例えば、日本には個人情報の壁がついてまわるが、データとテクノロジーをうまく活用している台湾やシンガポールの対応はとても参考になる。

 

日用品の買い占め問題も、ゲーム理論でならった説例のようだ。例えばトイレットペーパーとコロナウィルスは全く関係ないとわかっていても、フェイクニュースを信じて一定程度の人が買い占めに走ると予測できるのであれば、自分も買い占めた方が、買い占めなかった場合よりも、売り切れて買えなくなる可能性があるから得だ。合理的に行動するのであれば、買い占めに走るというのが、ニュースの真偽に関係なく正解ということになる。こういう理論をもとに、消費者に向けたメッセージを発してほしい。

 

コロナウィルスをきっかけにして、IT系の友人は、ビデオ会議の方が面白くなるような仕掛けを作っていたりしているし、医療系の友人は自分の正しいと思う情報をピックアップして共有してくれたりしている。教育関係者は自宅でできる教材を共有し、食事関係の人はレシピを公開してくれている。こうやってあたたかい気持ちが巡り巡って、つながっていくと、本当にもっと素敵なことができる気がする。

 

どうか早くコロナウィルス問題が収束しますように!