ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

オリエンテーション

「あなたの隣りに座っている人は、将来の大統領かもしれません。」授業が本格的に始まる前に開催されるオリエンテーションの初日、Deanからありがたいお言葉があった。「実際、オバマがそうでした。」

 

なんだかとんでもない場所に来てしまったな、と心がぎゅっと引き締まる。生まれて初めての留学で、とにかく何も思いどおりにいかない中(携帯電話を契約しようとしたら銀行口座が必要だと言われ、銀行に行ったら口座開設には携帯電話番号が必要だと言われる)、ハーバードコミュニティのメンバーになること自体が特権だと言われると、金魚が餌もないのに水槽の中でパクパクしているような、なんとも言えない気分になる。とはいえ、ここに世界中から学生が集まっているという事実はすごいことで、個人的にはどこかoilな国(=石油産出国)の王子様とご学友になれたらいいな、と妄想していた。

 

オリエンテーション期間中はほぼ毎日、ハーバード主催で様々なsocial eventsが開催されるが、純粋に日本で育った私には、常に監視カメラで職場の上司に見られている緊張感の中、巨大な冷凍庫に入れられて凍りつき全く動けない状態にあるような、ただただ辛い瞬間の積み重ねであった。もっとも、oil princeを探すべく、いわゆる「交流」というものを試みたりした。次のオバマがこの中にいるかもしれないと思うと、ちょっとワクワクする。なお、オバマが大統領になった時、教授の9割が「オバマは自分の教え子だ」と言っていたそうだ(オバマがいくら優秀でも、そんなにたくさん授業を履修することは不可能)。

 

すぐに気付くのは文化の違い。挨拶ひとつとっても、相手との距離感が国ごとで違うため、なんだかんだいって、日本人はもちろん、アジア人といるとほっとする。笑い話としては、アメリカ人に「see you soon」と言われたアジア人が、文字どおりアメリカ人がすぐに戻ってくると勘違いして、同じ場所でアメリカ人を待ち続けていたということがあった。

 

そして、ハーバードは学生の家族を本当に大切にしてくれる。公式イベントへの家族の参加はもちろん、授業もauditという制度があり、授業料を払わなくても家族であれば聴講できる(そもそも、私の授業料に家族分の授業料も含まれているのではないかと思うくらい高い)。3歳の息子をイベントに連れて行ったところ、息子のおかげでみんなに話しかけてもらえ(これ大事)、息子ネタで会話が続く(これもかなり大事)、という素晴らしい効果があった。

 

そんなこんなで、今日も息子にTrader Joe'sのアイスクリームを買ってあげなきゃ、とアメリカに来てから完全に息子を甘やかしている。