ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

Monday morning

M&A Workshopで扱ったケースはどれもドラマチックで、自分が弁護士であることも忘れて弁護士ってかっこいい!と思ってしまう内容だった。そしてすごいのは、ケーススタディに出てくるCEOが、今私の目の前にゲストスピーカーとしていることだ。しびれる(笑)。

 

現実は、夢を見る暇もなくただひたすら仕事に追われるばかりであることは十分わかってはいるものの、教授が弁護士として信頼されCEOの相棒になり、プロフェッショナルとしてアドバイスする姿につい憧れてしまう(なお、教授はかなりイケメン)。

 

そんなケーススタディーから学んだことは、"you do not have to win to win"ということだ。M&Aの文脈では、例えば入札形式だと勝ち負けがはっきりする。でも、本当に落札することが会社にとっての勝利だろうか。他にももっといい方法があったのではないか。あるいは、合併により株価がかえって下がってしまったら。重要な従業員が辞職してしまったら。

 

プレスリリース一つとっても、相手方への見せ方、従業員・顧客へのメッセージ、対株主という点では和解金狙いのM&A訴訟を避けるための戦略など(あるいは訴訟リスクを飲み込んで交渉の余地をあえて残して情報公開する)、一文字一文字に意味がある。なお、情報リークのリスクを避けるため、プレスリリースは月曜日朝にされることが多いそうだ(営業日中の方がリークのリスクが高く、情報のコントロールという意味ではリークされる前(=週のはじめ)にプレスリリースを出した方がいい。また、ややテクニカルだが、証券法上の開示義務も休日中に行われたことに関しては翌営業日(=月曜日)に開示すればよいから、何か週末に起きてももともと月曜日に開示する予定で準備しておけば問題ない)。これはつまり、弁護士はその週末家に帰ることはできず、事務所で缶詰めということ。。。苦笑

 

様々な利害関係がある中で、弁護士として何を優先するかを考えるときに重要なのは、教授曰わく、"don't think like an engineer, be a advisor"ということ。つまり、クライアントから相談されたり質問を受けた際、engineerのように完璧に作品を完成させることを考えるのではなく、advisorとして、なぜクライアントがその質問をしたのかを考える、ということだ。ここがわからなければ、真の意味での勝利はない。

 

弁護士はたいていリスクばかり指摘するので、よく保守的すぎるといわれるが、ゲストスピーカーとして話してくれたCEOの方々は、弁護士のlogicalな意見だけでなく"critical or even skeptical"な意見を評価し、信頼していた。なお、彼らはさすがビジネスマンで、英語は聞き取りやすいしCEOとしてのオーラもあり、プレゼンだけでなくちょっとしたジョークもレベルが高かった!

 

たまに眠い時もあったけど(M&A取引の前に行うデューデリジェンスという手続きの説明とか、、、まぁ実際デューデリジェンス自体面白いものでもないので仕方ない)、たまに授業中に頭の中は別世界に行ってしまったときもあったけど、取締役やCEOが、どういうジレンマの中でどうやって戦略をたてて意思決定をしているか、というのは今まであまり考えたことがなかったので、とても面白かった。そしてそこに弁護士がどうやってかかわれるか、という点では、弁護士が余っていると批判される日本では想像できないほど、弁護士の可能性は大きいと感じた。

 

また、日本の取締役会は監督機関というよりは経営者に近いが、アメリカは経営陣と監督機関たる取締役会は完全に分離している。こに経営陣vs取締役会という構図も、根回し文化の強い日本にはあまりない問題で、興味深かった。

 

たまたま同じ授業をJapanese-Americanの友人が履修しており、毎授業後、日本ではどうなのかなどと質問を受け、これもまた自分の経験を見直すいい機会になった。それに、英語で話す練習にも。。。あーー日本語だったらもっとドラマッチクに話せるのにな。

 

というわけで、無事冬期講習を終えることができ(まだ試験が残ってるけど)、「何だ、ボストンの寒さもそこまでじゃないな」なんて思っている。

 

追記:

確かに今年は去年に比べると暖冬のようだが、2月に入ってから本気のボストンに直面した。寒さで涙が止まらず、その涙が頬の上で凍る。これが現実。笑