ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

自由って

「自由とは何か。ヒトが初めて自由を手にしたのは、アダムとイヴが禁断の果実を食べた時だ。彼らは、裸でいるか、服を着るかの自由を手に入れた。」

 

思わずあんぐりしてしまったが、ハーバードの有名な憲法学者の有り難いお言葉である。とりあえず、服着ようよ笑。

 

彼の研究対象は、どういう場合に政府による介入が許容されるか。ヒトはみんな自由。だけど、それだけでは社会が成り立たないから、政府を作り、ヒトを規制することを許した。

 

結論としては、ヒトに2つのシステムがあり、System1は自由を制限なく享受し、System2はもう一人の自分として責任を持つ。System2がうまく働いていればSystem1が暴走することはない。だが、System2は必ずしも機能しない分野があり、それが一般的に当てはまるのであれば法律で規制し、個人差があるのであれば、例えば刑事上の責任のように個別に判断して対応する。

 

確かに自分の中にもう一人の自分がいるように思うことがあるが、たいていSystem1が勝つような気もする。System2が機能するなら、確かに法律なんていらないだろう。Legal Professionという弁護士倫理の授業の教授も、「I asked three people about this issue, me, I and myself」などと言っていた笑。

 

自由は「自由競争」という言葉の中にも入っているが、政府による規制を嫌い市場の判断に任せるというのが基本的な考え方。

 

これはタイ人から見るとあり得ない考え方らしい。そういえば、「タイは軍事政権の方が平和」という話を聞いたことがある。軍事政権の圧力(方向付け)によって、かえって市場がうまく動くのだ。タイ人の友人は裁判官なので、「司法は独立しているから、民主政権でも軍事政権でも変わらないけどね!」と付け加えていた。

 

発展途上国では独裁政権がよく問題視されるが、国内問題を抱えつつ経済発展を遂げるのは至難の業で、独裁者だからこそ(強引に)開発を進め経済力を高められる、という側面もあるようだ(もっとも、その恩恵を受けられるのが一部だけ、というのは別問題としてある)。

 

タイの政情は詳しくはわからないが、少なくともアジアの傾向として、「強い政府」のもとで発展してきた、というのがあるように思う。中国が代表的だし、日本も自民党時代に高度経済成長を遂げた。

 

とにもかくにも、自由を標榜するアメリカでは、競争の結果、「高くておいしい」(ボストンだとプルデンシャルに入ってるお店とか)か「安くてまずい」(ロースクールでタダで配られるピザ)が基本的な選択肢になっている。「安くてうまい」(日本の吉牛)は存在せず、他方で「高くてまずい」(ロブスターの店も選ばないとパサパサ)は当然存在する。「神の手」で、市場を正しい方向に導いてくれ!!