ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

Moonshine

クリスマス前でオフィスがfestiveな雰囲気の中、同僚にMoonshineを試してみないかと誘われて、何のことかと思ったら、密造酒のことだった。こういうのをオフィスで堂々と飲んでいいのかな(笑)それにしても、きれいな名前だなぁ。かつて月光を頼りに蒸留していたからこの名前がついたそうだ。お洒落。違法だけど(笑)そして、カルーアみたいに甘くっておいしかった。

 

アメリカに来てから日々文化の壁にぶち当たり、そして決まって砕けるのは私の方で、「あの本当に日本に帰りたいんですけど」と思うことばかりだが、このクリスマスシーズンは大好きだ。日本はちょっと恋人同士でラブラブみたいな雰囲気が強いけれど、アメリカはもう少し宗教色が強いのと、あとみんな段々働かなくなってくるのと(笑)、普段は言葉にしない「ありがとう」を伝える素敵な習慣がある。これは日本にも取り入れたいな。

 

日本の文化もだいぶアメリカに輸入されていて、特に日本食はシカゴにミシュランの星を獲得した日本料理やさんもあるくらいだ(ボストンにはなかったけど)。留学前に聞いていた話と違い、誰も日本にまだ武士がいるなんて思ってないし、まぁまだ日本が中国の一部だと思っている人はちらほらいるものの(まぁ経済的には中国に依存しているのは事実かも)、技術大国としてのイメージはあるし、出身はどこか、という問いで「Japan」という国名だけでなく「Tokyo」と都市名まで聞いてくる人も多い。とはいえ、ボストンの和食やさんでは、パクチーの入った味噌汁なんかが出てくるんだけれども(もちろんまずかった。。。ワカメとパクチーは違うから!)。

 

こうやって文化の行ったり来たりはあるものの、やっぱりアメリカ人は根本が違う。例えば、「ヒーローになるためには?」というお題があったら、日本だと、ヒーローとしてきついトレーニングしたり、あと精神的にも鍛えたりするイメージだが、アメリカは「Just to be yourself!」だ。何もしなくていい、自分らしくあれ。あっぱれこのみなぎる自信。そしてこの自信にはプライドもセットでついてくる。

 

でもこの自信とプライドって悪いことではなくって、だめかなって諦めちゃうことなく「まず交渉してみよう。私が正義だから相手も納得するはず」みたいな思考回路で、本当に交渉してやりたいこと実現しちゃうからすごい。去年一年間、争いを避けてのんたりぷらぷらした日々を思い返すと、これくらいアグレッシブに求めていったら、もっと留学生活充実したかな、とちょっと反省。

 

自分のことでなくても、例えば今通っているヨガの先生が、ジムの経営者交代により失業することになってしまった。すると生徒たちが、「私たちが交渉してあげるから!経営者は生徒の声を気にしているし、なんといっても評判が大事だから。先生が次の経営者に転職してもいいと思ってるなら!」と言って、本当に新しい経営者に交渉して、先生の雇用を実質的に継続できることになった。もちろん先生がすごくいい先生で(私的にもアメリカで習った先生の中で一番!)、生徒としては先生のレッスンを受け続けたいということがあるのだけれど、こうやって交渉で結果を変えていくというのが日常茶飯事のことで浸透しているのが驚きだった。

 

他方で、他人からの干渉をひどく嫌う。ハーバードのデザインスクールで一回だけ聴講した授業で、地球温暖化防止のためのスキームを考えるセッションがあった。私は、寒すぎるエアコンの温度の設定を28度にして、省エネすることを提案した。具体例として、日本のクールビズも紹介して、役所が率先してこういうことをやっている、特に東日本大震災で原子力発電所が問題になってから、節電のため多くの企業がやっている、と話した。

 

すると反応は、「何で国にエアコンを何度に設定するか指図されないといけないの」「役所はやるのは勝手だけど、なんで民間企業もそれに倣うのか」「どんな服を着ようが個人の自由」。あぁーーそうきますか。

 

日本って「お上」的な概念があって中央政府が強いけど、アメリカは独立した各州が集まっただけの連邦だから、こういう考え方になるのだろうか。そして強い資本主義。28度なんかに設定したら、暑すぎて誰もお店に入ってくれなくって売り上げ落ちる、涼しすぎるくらいの空間を作って客引きをすることは、企業として競争してきたことによる結果だ、とのこと、、、まぁ確かに、蒸し暑い日にコンビニの前通ったときに自動ドアが開くと、ひんやりした風が外に出てきて、気持ちよくってつい立ち止まっちゃうけど。笑

 

アメリカで食文化が発展していない理由は、王朝がなかったからだとか歴史が浅いからだとか色々言われているが、友人の分析によると、「食べ物じゃなくてイデオロギーを食べているから」。確かに、アメリカは、ハラルみたいな宗教上の食事制限だけでなく、ベジタリアンやビーガンなど、動物愛護などイデオロギー的な理由に基づく食事制限も一般的に広まっている。食事に求めるのは、味じゃなくてイデオロギー。

 

Moonshineにコーヒーを混ぜてみたらすごく美味しくって、アメリカでも美味しいもの作ろうと思えばできるのになぁ、自分自身と交渉して味もイデオロギーも両方求めちゃえばいいのになぁ、なんて思いつつ、そんなこと言ったら「自分のことは自分で決める」言い返されちゃうんだろうな、とも思い、結局なにも言い出せない私でした。。。