ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

アメリカと日本、どっちが子育てしやすい?

アメリカと日本、どっちが子育てしやすいかと聞かれると、私は迷わず「日本!」と答えている。アメリカの方が子どもに優しいとかよく言うが、日本でも最近は優先席譲ってもらえるし、ベビーカーを抱えていると手を貸してくれる人も多い。歩道は平らで段差も少なくベビーカーも押しやすいし、東京だからかもしれないがドアは大体自動で、ベビーカーを押したままそのまま中に入れる。

 

一方アメリカは、ボストン事情しかわからないが、歩道はデコボコでベビーカーは押しづらいし、車も自転車も運転が荒くかなり危ない。ドアは不必要にめちゃめちゃ重く(東京のアメリカ大使館のドアも重いからこれがアメリカスタンダードなのだろうか)、少し扉を開けて足を引っ掛けながら踏ん張りつつ何とかベビーカーを建物の中に押し込んでいる感じだ。確かにニコニコ笑いかけてくれる人は多いが必ず助けてくれるとは限らず、他方でホームレスが気軽に子どもに話しかけて物乞いしてきたりして、結構困ったりする。

 

日本だと、子どもの声が「騒音」だと言って保育園建設に反対する人がいて計画がおじゃんになったという悲しいニュースに心を痛めていたが、アメリカでも子どもがうるさいと保育園にクレームが入ったりしており、どこも一緒なんだと思った。

 

高すぎる保育園代、複雑すぎる医療制度など、福祉系は日本が圧勝。例えば習い事も、お金がかかって身近ではない。息子は水泳を習っていたのだが、4歳児の集団指導で1回3000円なので我が家的には相当VIPスクール。何せ場所もホテルのプールだし。名目上は1回45分だったけど、多分30分くらいだったと思う(普通プール後って眠くなるはずなのに、我が家の怪獣さんはプール後も疲れの気配すらなく、寝る時間は全く早くならなかった)。

 

もう少し安めな習い事でサッカーもやっていたのだが、3ヶ月のコースでなんと最後の3週間、ちゃんとクラスに来ていたのは息子だけだった。時間どおりに体育館に行くと、誰もいない。誰も来ない。

 

ちょっと聞いてみると、こういうことはよくあるらしい。お金払えば最後までやらずに休んでいいということなのだろうか。。。時間に遅れて体育館に一瞬現れたコーチも、「みんなどこに行ったんだろうねぇ」「君はちゃんと来て偉いねぇ」などと言ってどこかに消えていった。最後までやり続ける、というのは日本独特なのだろうか。というか、コーチ、少なくとも息子がいるんだから、少しは指導お願いします、、、

 

保育園もいい保育園ではあるのだが、1年に2回先生への現金という名のプレゼントの習慣があり、任意とはいえほぼ強制で、しかも手渡し。その金額によって先生から子どもへの扱いが変わらないか、少しは影響が出ないのかと(先生も人間だし)心配になるし、何だか資本主義(金持ちが勝つ)を感じる。ついでに先生の打ち上げの日は「明日は打ち上げなのでいつもより30分前に保育園はクローズします」とのメールが前日に来て驚愕した。

 

ちょっとした縦割りも面倒で、例えば子どもの予防接種の一覧表をもらうのでも、受付の人は平気で何もわからないと言い、かと言って担当にうまく取り次いでくれるわけでもなく、そこをお願い、と頼むと看護士が出てくるものの今度は頼んでない情報が出てくる。なので、自分で調べた上で問題点を具体的に指摘してお願いしなくてはならない。いざ医者のところまでたどり着くと、ものすごくフレンドリーに「don't worry」などと言われて拍子抜けする。最初から医者に会わせてくれれば、一度で済んだのに。。。

 

唯一、これはアメリカだけと思えるのは、子どもを優先したり、子どもを大事にしたいと思う気持ちを尊重してくれる空気感だ。教授も必要であれば授業に子どもを連れてくるし、周りに迷惑がかかるとしてもそれを別に迷惑と思っていない感じがする。

 

そういう雰囲気があるからか、企業も子どもに対する親の気持ちを、働くことへのモチベーションに高める仕組みを取り入れている。例えば、企業内研修や留学費用補助など、自身の自己研鑽費用を補助してくれる企業が多いが、それは実は一部の意識高い系にしか響かなかったりする。ところが、「子ども学費補助します!」とルールを変えたところ、子どものいる従業員ほぼ全員が、その新ルールの適用を受けるべく、勤務効率があがったそうだ。

 

そういえばビジネススクールの授業でも、飛行機のシステムを変えようという課題で、たまたまチームが全員子持ちだった。そこで、「子連れは荷物多くて大変。セキュリティーゲート通るの面倒」という問題設定をし、あらかじめ必要なものを購入・送付すれば、セキュリティーゲート通過後に受け取る、というサービスを提案したところ、クラスから拍手があった。こういうことがあったのは、子ども関連の提案だけだった。

 

という感じで、いい意味でも悪い意味でもアメリカでもまれつつ、何とか子育てを続けている。何とか病院に3回お礼参りをした後にやっと受けられた予防接種の後は、息子はバンドエイドを誇らしげに掲げつつも、一度に4つも注射されて衝撃だったのか、甘えん坊なのもあり赤ちゃんがえりしてしまった。保育園に迎えに行くとハイハイしており、いつものプリスクールクラスではなく赤ちゃんクラスにまじっていた。こうやって子どもが選べばそれを尊重して赤ちゃんクラスでもお兄ちゃんクラスでも受け入れてくれるところも、アメリカっぽくっていいところかもしれない。