ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

レッジョ・エミリア

我が家の怪獣さんは、レッジョ・エミリアのプリスクールに通っている。レッジョ・エミリアというのはイタリアにある都市で、レッジョ・エミリア・アプローチというのは、そこで生まれた教育方法のことをいうらしい。なんかかっこいいしよさげ(笑)。実際、息子も元気に楽しく通ってくれているので、何よりだ。

 

まず、このプリスクールに入れるまでが試練だった。ハーバード系列の保育園なので、優先して入れるかと思いきや、優先されるのはハーバードの教授やスタッフのみ。はい、私はただの一学生です、、、

 

ハーバード系列の保育園全6つからwait listの連絡が来たのが去年の5月。あと2ヶ月で渡米、というタイミングだった。6つともだめってどういうこと!と思い、ハーバードロースクールに助けを求めたり(公平性を害するので何もできないとのこと)、ボストンのありとあらゆる保育園に手当たり次第連絡したりした(玉砕。どこも定員いっぱい。)。文字どおり毎日毎日仕事の合間にせっせとメールし、息子を寝かせた後の日本時間深夜(ボストンのビジネスアワー中)にしつこく電話した。何通メールを送り、何件電話したことか、、、特にハーバード系列6つの保育園には集中的に電話し、空きがないか確認していた。神よ、ここまで私の息子への愛を試したいのか。。。

 

そしてようやく確保したのがこのレッジョ・エミリアの保育園。特にアートに力を入れているのが特徴的で、先生の他にアートディレクターが各教室に配属されている。

 

まず、教室。センサリーテーブルというのが教室の真ん中にあり、日替わりで砂や水、貝殻、ビーズなどで遊べるようになっている。また、教室の一角にはstudioと呼ばれる場所があり、キャンパスが立てかけられていて、思いっきり絵が描ける。息子のお気に入りはcozy cornerと呼ばれる場所で、小さいソファと天蓋があり、特に初期にはすっぽりおさまっていた。

 

すごいのは、3歳で抽象的な概念を話し合っていること。毎日ミーティングと呼ばれる時間があるのだが、”今日は、welcomeというのはどういうことか考えてみましょう”と、どういう時に歓迎されていると感じるか、どうやったら新しいお友だちを歓迎できるか、といったことを子ども同士で話し合う。しかも、3歳児にして、みんなの前で意見を発表し、質問まで受け付けるという、プレゼンまでやっているそうだ。さすがアメリカ!

 

ある日は”brave"について話し合い、ライオンの絵本を読み、”braveになるにはライオンみたいに強くないといけないのかな?みんながライオンにならなくてもbraveになる方法はあるかな?”と先生が聞くと、子どもたちは"dadyになればいいんだ!”と答えたそうだ。子どもの世界観が垣間見れてきゅんきゅん。

 

そしてその後、”brave”を絵に描いてみましょう、ということで、みんな思い思いに、ライオンやdady、はたまた自画像を描いたりしたようだ。こうやって抽象的な概念を教えるのかと、とても面白かった。

 

自画像といえば、鏡を目の前において自分の顔を見ながら、鉛筆、クレヨン、絵の具、粘土など色々な素材で描く、ということもしていた。自己の意識を高めるのだそうだ。確かに、鏡に映った自分を満足げに眺めている息子、、、笑

 

毎日写真入りの日誌が作成され、視覚的に今日の振り返りができるようになっている。これはこれでとてもいいのだが、日本の保育園は保育士さんが丁寧に毎日手書きで個々に様子を伝えてくれていた。こちらは各教室紙一枚で必ずしも息子の様子がわかるわけではなく、受け渡しのときも”see you!"と言われるだけなので、ちょっと日本の細かさが懐かしい。

 

ついでに、こちらはハイハイなども土足のまま。汚くないのかな、と思うのは私だけなのか誰も気にしていない。別に命に別状はなさそうだ。笑

 

そういえば、ロースクールの同級生でも、携帯の消毒ジェルを持ち歩いているのは東南アジアかアフリカの学生で、彼らは必ず食事の前に手を消毒する。アメリカの学生は気にしてないし、そもそもレストランではお手拭きも出ない。お国柄というか、各国の衛生事情を反映しているのだろう。ちなみに日本のレストランのサービスに甘やかされた私は、手を拭かないのは気になるもののジェルは持ち歩いておらず、結局アメリカ式になっている。

 

日本の保育園との違いは、運動会などの行事がなかったり(ちょっと寂しい)、パンツトレーニングも完全親任せ(個人差の範囲内ということでパンツトレーニングはいつでもいいそうだ)、個人情報に関するwaiverにサインすることで日本ほど無意味に厳しくない(waiverすればいいのか、という気もするが)、そして、、、保育代がべらぼーーーに高い!月25万円の固定費は、学生には相当つらい。というか、働いていたとしてもきつい。日本は、かなりの額を政府が補助していたんだと実感。ありがとう、日本政府。

 

私立なので、やたら寄付を迫られる上、年末には、「先生方に感謝のプレゼントをしたいと思います」という保護者代表からのメールが届き、「一番喜ばれる現金をプレゼントしたいと思います」という現実的な提案。さらには、「なお、毎年の恒例で一人最低200ドルお願いします」というなお書きつき。。。これって、先生は一人20万円以上の臨時収入だよね。。。

 

気温がマイナスでも外遊びに連れて行ってくれ(さすがボストン)、そして息子をネイティブスピーカーにしてくれてるので(Rの発音完璧)、まぁいいよね、うん、と言い聞かせながら毎月大金を上納させていただいている。