ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

Dual Class Shares

アメリカでは、多くの会社が経営者に有利だと言われているデラウェア法を準拠法として設立されている。基本的に自由に定款で決められる、というのがルールといえばルールだ。

 

そして驚きだったのが、dual class stockという制度。普通株式の議決権は1株1票だが、Facebookのザッカーバーグの持っている株式は、1株10票の議決権がある。ザッカーバーグは、株主としてお金はそんなに出していないのに、議決権は過半数を持っており、株主総会で自由に決められることになる。

 

こんな制度許されるのか、しかも上場企業で!と思ったが、他の投資家は承知で投資しているので、問題ないのだそうだ。とはいえ訴訟社会のアメリカ。もちろんザッカーバーグも例外ではなく訴えられたが、結局和解。

 

ハーバードのすごいところは、このケースを担当した弁護士がプレゼンしてくれること。さらに、学生が「一方的な意見だけじゃなく相手方の弁護士の見解も聞きたい」とリクエストすると、教授がにっこりして「よしきた」と次々回の授業に呼んでくれる。弁護士も忙しいはずだし、なんてったってここは田舎町ボストン。ニューヨークではない。教授によれば、みんな喜んで自費で(!)ボストンまで飛んで来てくれるそうだ。

 

他にも、shareholder activistsの回では、まさにそのアクティビストからも、アクティビストに攻撃を受けて何とかかわした会社の取締役からも、お話を伺った。アクティビスト側は、最近地位があがってきて、会社側も話を聞いてくれるようになっただけでなく、アクティビスト側の取締役候補者の質もあがってきているらしく、自信満々だった。課題としては、「コーポレートガバナンスの向上」が大事と世間では言われているが、それがどう株価に結び付くか不明な点も多いので、それを解明していくことだそうだ。この指摘って的を射ていて、何かアクティビストって悪者かと思ってたけれど、私も納得してしまった。

 

他方で会社側は、アクティビストと協議する義務はないのだけれども、情報収集のツールとしてはそれなりに有意義だと言っていた。が、どことなく苦笑い。笑

 

訴訟合戦の回は、担当弁護士がdeposition(証言録取)のビデオを見せてくれ、「ほら、いかにも嘘ついてる、って感じでしょ?」と笑いをとっていた。discovery(証拠開示手続)のところでは、相手方の特殊なメールソフトが、自動的に2日後にすべてのメッセージを削除するシステムであることを発見し、「意図的な証拠隠滅があった」(2日後に自動削除されることをわかっていながら止めなかった)、と主張したそうだ。

 

この発見の経緯が面白い。会社のオフィシャルメールに「タイガー」という言葉があり、どうやら「メールを削除する」という意味らしいということが文脈からわかり、タイガーウッズが浮気隠すために送信した全てのメッセージを即消していたように、「タイガー」と使っていたのではないかと弁護士チームで笑っていたところ、ある弁護士がgoogleで検索して、「Tiger Text」という自動削除機能付きメールソフトウェアがあることを発見したという。ナイスネーミング笑。

 

やっぱりコーポレートの世界はドラマがあって面白いなーー