ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

図書館の世界

授業前は、終わっていない宿題を追い込むべく、図書館にいることが多い(家にいると、ついThe Good Wifeという弁護士のドラマを見てしまう。なお、Amazon Primeだと無料で視聴可能。日本でもドラマ化されているようだが、私は来年シカゴの法律事務所で働く予定で、しかも主人公がワーママということで、自分と重ね合わせながらハマってしまっている)。ハーバードには図書館がいくつかあるが、ロースクール生は基本的にロースクールの図書館で勉強する。

 

子どもの頃から思っていたが、図書館って、何かいいにおいがする。ハーバードだけでなく、ケンブリッジの公立図書館もとても素敵で、子どもコーナーが充実しており、大変お世話になっている。

 

ハーバードロースクールの図書館で特にお気に入りの場所は4階で、天井が高く、シャンデリアがきらめきつつも厳かで、雰囲気はまるでハリーポッターの世界。4階にはコーヒーコーナーもあり、午後9時以降使えることになっているものの、実はいつでも使える(ご多分に漏れずカプチーノなどは甘すぎなので、私はティーパックを持参してお湯だけもらっている)。

 

図書館のlaw librarinと呼ばれるスタッフの方は、超フレンドリーでかつ優秀という、ありがたい存在だ。まだ論文を書き始めてないのでそんなに相談したことはないが、いつでも相談できる人がいるという安心感は、特に外国では身に染みる。

 

ロースクールの図書館は色々なイベントを主催しており、話題の本の著者を呼んで行うブックトークや、Halloween tourと題して図書館やハーバードにまつわる怖い話(法律との関係では魔女裁判など)をしてくれるなど、とても面白い。Halloween tourでは、librarinが魔女のコスチュームを着ていて、みんなで図書館を回っている途中、他のlibrarinが暗闇から出てきて脅かすというシナリオになっており、年甲斐もなく声をあげて驚いてしまった。笑

 

そして、ロースクール図書館のコレクションは国立博物館並みで、さすがハーバードだ。なんと最古の秘蔵コレクションは、日本法に関する資料で、不動産法の起源を示すものだという。

 

せっかくなので、お願いして見せてもらったところ、いわゆる漢文で全く読めない笑。もう一つレプリカ版があるということで見せてもらうと、訓読できるよう記号が挿入されており、なんとなく意味はつかめた。が、うーーん、これって不動産法??まぁ、法の起源ってこんなものかも。笑

 

担当してくれた方は、資料のデジタル化を進めている責任者の方で、上記の日本の資料もウェブ上で閲覧可能だ。

https://hls.harvard.edu/library/digital-collections/digitized-scrolls-from-the-japanese-manuscript-collection-1158-1591/

 

彼女は、他にも色々見せてくれたのだが、私のお気に入りは、Paper Chaseという映画にも出てくる、hairy hand。契約法の分野において重要な判決とされる通称hairy hand caseというのがあり(Hawkins v. McGee)、これは、ある男の子が手に胸の皮膚を移植したら、手の甲から胸毛が生えてきてまい、医者を契約違反で訴えたという事件だ。図書館で保管されているhairy handの模型は、契約法の授業を聴講していた学生が、授業の最終日に教授にプレゼントしたものらしいが、かなりリアル(毛はもしゃもしゃ、手首は血まみれ)。教授も、リアルすぎて、図書館に寄付せざるを得なかったのだろう(笑)。

 

他にも、例えば死者の顔に被せていたマスクが保管されているが、これはもともとメディカルスクール所蔵だったものの、DNA鑑定と法という観点からロースクールに保管されることになったらしい。また、昔の伝統で、女性が男性に自分の髪の毛を切って送るというのがあったらしいのだが、ハーバード生(男)が彼女からもらった髪の毛を添えて論文を大学に提出したらしく(論文が彼の恋人?笑)、その髪の毛が今でも保管されている。

 

図書館の世界にどっぷりはまり、100年前の学生はどんなこと考えてたのかな、なんて妄想していると、あっという間に授業の時間。あ、課題終わってないや。。。