ワーママのアメリカと日本の子育て

弁護士の子育てサバイバル日記

無計画なやる気

ハーバードロースクールは、卒論を書かないと卒業できない。トピックを決めた後、自分で教授にアタックしてsupervisorになってもらい(これが日本人の私には心理的ハードル高し)、論文をひたすら書く。なお、リサーチについては超優秀なライブラリアンがいるので、助けてもらえる。が、引用文献の書き方は、 bluebookという超特殊な汎用性のないルール本があるので(なんせ裁判所提出用の書類は別書式)、それに従ってみちみち引用しなければならない。

 

「直前に何とか仕上げるくせが弁護士の間についちゃって」と冗談を言っていた韓国人の友人の言葉どおり、どうも追い込まないと筆が進まない。締切2週間前で、まだブレーンストーミングしていた私。

 

よくスケジュール帳に計画を立てて書き込んでいたが、そのとおりにいくことはない。これはみんなそうで(たぶん)、先日出たセミナーによれば、スケジュール帳はaspirational toolではなくあくまでorganizational toolなのだそうだ。

 

セミナーの先生が言っていたのは、みんな計画は書き込んでも、実際どうだったかを書き込む人は少ない。これをやるだけで、もっと現実的な路線がわかってくる。何をやりたいかは大事だし、それを考えながら計画を立てるのは楽しいかもしれないけれど、自分とちゃんと交渉して(internal negotiation)、妥協していくことも大事。それから、携帯の電源を切る勇気が大事。笑

 

家での日常的な勉強で集中力が続くのは10分という統計もあるそうで、とにかく細切れに、small stepで、というのがアドバイスだった。自分自身でコントロールできる範囲まで細分化する、ということのようだ。

 

大きな目標として、なりたい自分、憧れの人、というのもあったりするけれど、例えばプレゼンであれば、自分がその憧れの人である「ふり」をしてやってみる。「ふり」をしていたはずなのに、上手くいかなかった部分が出てくるので、そこを克服していく。何なら、その「憧れの人」は自分にはあわない、という発見になるかもしれない。

 

別の日に、オバマのスピーチライターをやっていた人から話を聞く機会があったのだが、彼が言っていたのは、同じ言葉でも違う人が言うと違う意味になるという。"justice"という言葉を、オバマが言うのとトランプが言うのとで、確かに大分印象が違う(皮肉具合というか)。

 

また、同じことでも言い方によって一定の方向に人を誘導することもできる。

 

例えば、

①一定額を払えば、2週間休暇とってもいい

②2週間休暇をとった場合、一定額を会社に払い戻す

というのとで、従業員の間でどのような違いが出るだろうか。

 

①だと、権利を買っているイメージで、無駄なお金を使いたくない、と従業員は思ってしまうそうだ(not willing to pay)。他方、②の場合は、そうだよね、休んだんだから会社にお金返さないとね、という感じで、従業員にとってより受け入れやすい内容になる(willing to accept)。②の言葉を使うことで、従業員が休暇を取り、かつ、会社が給料を支払わない、という方向に持っていきやすくなる。

 

そんなこんなで、私にあう言葉は何だろうとか、同じことを他の言い方でできないかな、などと結局ブレーンストーミングの渦から抜け出せず、small stepに作業を分解しようにもまだ何を書くかも決まっていない、という状況のまま、部屋の片付けだけは順調に進んで、締切直前を迎えた。

 

とにもかくにも、何とか出せてよかった。。。